悩ましいポイントの扱い

 今後は早速、仕分例を出しながら家計簿の作り方を考えて行きたいと思います。

 私が家計簿を付けて非常に扱いに困ったのが「ポイント」です。例えば家電量販店で会員になり、会員カードを使って商品を買うとポイントが付きますよね?

 このポイントを家計簿記上どう扱うか、によって考えられる仕分けが異なります。ポイントは「資産か否か」、「収益発生のタイミング」、「ポイントは収入か、費用の控除か」です。設例を出しましょう。

【ケース1】

1/1 A氏はB電機で10,000円の日用品を現金で購入した。購入代金の2%に当たる200円がポイントとして付与された。

1/10 A氏はB電機で100円分のポイントと現金900円を使って消耗品を購入した。

1/31 使用しなかった100円のポイントが失効した。


では、考えられる仕訳を並べます。


①ポイントを資産として計上する場合

1/1 日用品費(費用) 10,000/現金(資産) 10,000

  ポイント(資産) 200/ポイント獲得益 200

1/10 消耗品費(費用) 1,000/現金(資産) 900

              ポイント(資産) 100

1/31 ポイント未行使損100/ポイント(資産)100

 ポイントは商品と交換することが可能であるため、資産として計上する考え方です。まずポイントを獲得した時点で資産として計上します。そしてポイントを使用した時点で収益を認識します。ポイントが失効した場合は損失として計上します。

 利点は現在使用可能なポイントを貸借対照表に計上できること。欠点は仕訳が煩雑になるという点です。特にポイントが付くスーパーで毎日買い物をする場合は、かなり面倒な仕訳となります。


②ポイントを資産として計上しない場合

1/1 日用品費(費用) 10,000/現金(資産) 10,000

1/10 消耗品費(費用) 1,000/現金(資産) 900

             ポイント使用益(収益) 100

1/31 仕訳なし

 ポイントを獲得した段階では資産としては計上せず、使用した時点で収益として計上=利益剰余金に参入する考え方です。利点は①と比べ遥かに仕訳が楽である点、かつポイント使用額をきちっと損益計算書に計上できる点です。欠点はポイント総額が貸借対照表に計上されないので、現在使用可能なポイントをリアルタイムで確認出来ない点です。


③ポイントを費用の控除として計算する方法

1/1 日用品費(費用) 10,000/現金(資産) 10,000

1/10 消耗品費(費用) 900/現金(資産) 900

1/31 仕訳なし

 ポイント使用した場合に収益として計上せず、費用の控除として計算する方法です。ポイントを常連客に対する「値下げ」として捉える考え方ですが、最も欠点が多いと言えます。まず、この例では消耗品費から控除していますが、仮に借方が食費、消耗品費、日用品費など諸口で会った場合、どの勘定科目から控除するか恣意的になる点。そしてポイントを有効活用できているか、決算時に確認できない点が挙げられます。一方で仕訳は非常に簡単ですので、最も簡易的に家計簿を付けたい方向きと言えます。


 如何でしたでしょうか。なお、私は現在②の方式を用いて家計簿を付けています。



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